風

だれかのこと

暑さも少し和らいで、エアコンをつけずに過ごせる時間が多くなってきた。

窓を開ける。

いろんな音がする。

懸命に鳴いている蝉、鳥のさえずり、ブブブブとせわしなく飛んでいる蜂。遠くで車やバイクが走っていて、ご近所さんの生活の音が時折聞こえる。

ここに越してきて、ちょうど1年くらいだろうか。

お隣のおばさまは、アコーディオンが趣味らしく、美しい音色がよく届く。
けれどいつも、そのレパートリーは2つか3つを行ったり来たり。

気づけば、私もそのメロディを口ずさめるようになった。

曇り空だけど、仕方なく洗濯物を干す。
お隣から、音色が聞こえ始めた。

あれ、聞いたことのない曲だ。でも、知ってる曲。

『千の風になって』だった。

ああ、お盆だからか。

伸びやかなメロディにあわせて、私の頭のなかに歌詞が浮かぶ。うん、いい曲だなあ。

父は生まれ変わりを信じている人だったけど、はて、どうしているだろうか。

涼しい顔をして、「さあ、生まれ変わっているとしても、違う宇宙なんじゃない。」と母は言ったっけ。

風になるのもいいかもしれないと、揺れる洗濯物を見ながら思った。

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