マイナンバー

だれかのこと

マイナンバーの更新にきた。

番号を渡され、パイプ椅子にかけて待つ。

簡易的に設置された待合と窓口は、なんだか不思議な感じ。この空間は、本当はなんのためのものなんだろうな。
どうでもいいことを考えつつ、ぼーっと待つ。

すぐそばの窓口で、おじいさんが悪態をついていた。

「こんな長い暗証番号、何年も覚えとけるかっちゅうねん。おかしいやろ」

電子署名の16桁、まあ確かに長いけど。
思いながら、おじいさんのほうに目をやる。
おじいさんはちょうどこちらに背を向けるようにして、腰かけていた。

尻の割れ目が、見えている。
ズボンがずり落ちて、尻の割れ目が丸見えになっている。

暗証番号の長さについて、
今もおじいさんはねちねちと文句をたれている。

私はしみだらけの、おじいさんの尻を見ている。
尻にもシミができることに、ちょっとがっかりしつつ、その尻を見ている。

尻の割れ目を晒しながら、食ってかかるおじいさんをみて、申し訳ないけれども愉快な気分になった、ある日の午後。

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